雑感置き場

触れたコンテンツの感想+α

作画から読み解く作品の意図

作画が良い所は物語の中でも力を入れているところだと思います。全ての作品に言えるわけではないですが。


少し前の話になってしまいますが、アニメ「Wake Up Girls」(以下WUG)の最終回放送終了後、キモオタの顔の方が作画いいじゃんという声が見られました。自分たちの思い描くアイドルを目指す少女たちの話であるはずなのに、どうしてキモオタの顔に気合を入れたのでしょう?
担当作画マンが気合を入れてしまったからかもしれません。失礼な言い方になってしまいますが、良い絵を描けるアニメーターというのは限られていますし、時間の制約の中でそういった人をどこに割り振っていくのかもアニメ制作する上での重要なポイントになるんじゃないかと考えます。それならば、物語における重要なシーンを上手い作画マンに描かせるというのは当然のことであると思います。そうでなければ作画監督が徹底的に手を加えて良い物にするでしょう。
キモオタの顔の作画が良かったというのは何らかの創作者の意図が介在していると考えてもいいと思います。それを考えれば山本監督が作品の中で伝えたかったことなんかも見えてくるのではないかと。

最大のライバルとして描かれていたI-1クラブのダンスシーンは個人的には、WUGのダンスよりも上手く描かれていた気がします。「ラブライブ」でもアライズのダンスシーンは作画に気合が入っていました。詳しくは調べてないのでわかりませんが、ロトスコ使っていたのかヌルヌル動いて全編作画でしたし、ミューズのダンスシーンとは雰囲気から何まで対照的だったように感じます。これも意図を推測すると、作画によって作品内での実力というのを表していたのではないかと思います。ミューズのダンスは3DCGを使ってはいますが、要所要所で作画によって躍動感をうみだしていて結構好きです。

全部綺麗に描くことは現実問題難しいですし、人それぞれ得意なものを持っているので、たまたまさして物語情重要ではないシーンに上手い絵が載ることもよくあると思います。ですが、ただいい絵だから嬉しかったで終えるのではなくて、作画技術、技法の程度によって制作者の意図を推測してみるのも楽しいんじゃないかなと思います。
アニメ制作の現場に詳しいわけではないので全部推測のことですが、物語を読み解く上での参考になれば。

いなり、こんこん、恋いろは。の感想

イモ臭くて可愛い主人公がお気に入りのアニメです。原作は読んでいませんが4話まで観た時点での感想を纏めます。

 

■どんなアニメなのか?

 最初はこの作品、「主人公が変身能力を通して新たな自分へ変身(成長)していく物語」なんじゃないかなと思いました。ここでいう主人公の成長とは、自分に自信を持って想いを寄せる男の子に、自分の想いを伝えられるようになることです。ターゲットの男の子はありがちな鈍感系男子…だと思っていたのですが、4話を観る限りそうではないようで、意外とゴールは早いのかもしれません。

 そこで気になってくるのが主人公に自分のチカラを分け与えたうか様の悩み。よくよく考えてみるとそちらの方が闇が一層深く感じます。そこで、この作品は実は「うか様が変身(成長)していくいなりの姿を見て自分自身がホントウの意味で変身(成長)する物語」なんじゃないかなと。入れ子構造ってやつでしょうか。

 変身能力を失ったうかというのが、自分を変えようとしないうかの現在の姿に重なりますし、うかといなりの間を取り持つのが「変わるチカラ」というのも作品を読み解くポイントとして機能しているように思います。

 これが作品のテーマであるのならば、うかの、いなりを見守る視点が視聴者と重なり、いなりの成長からのうかの成長に心を揺り動かされるといった仕組みになっているのではないでしょうか。最終的に本当の意味での「変わるチカラ」は誰から誰へ渡るのでしょうか。

 

■考えられる別のアプローチ

 最初にこの作品を観たときにうかはいなりにとっての母なんじゃないかと思ったんです。見守る、分け与える、影響されるといった親が持つ要素を兼ね備えてますしBBAですし。あ、僕はうかも好きです。

 なのでいなりは母性的な寵愛を受けずに育ってきた子なのかなとか思いました。しかし、実際は現状あまり話には絡んできませんが、漫画家のお父さんのアシスタントとしてバリバリおうちにいるお母さんっぽいです(詳しいことは話に出てないのでわかりません)。

 となるとうかはどのようなポジションなのだろうと。母親ではない似た者同士。友達よりは見た目的にも行動的にも上。お姉ちゃんあたりでしょうか?

 僕なら、うかを母親的ポジションにしたいので、母親を幼いころに*してうかから女のいろはを学ばせます。うかも男に絶望した身なのでどうにも間違えたアドバイスをしてしまい、齷齪して険悪なムードになったり色々なドラマがあって…あ、これじゃあ今の温かい雰囲気が活かせませんね。ボツ

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 あとは展開の速さが気になりました。せっかくいい舞台を用意したのだから、学校や街の描写説明にもっと多くの時間をはじめに割いて欲しかったです(まだ4話ですが)。高天原に行くのはもう少し後にして、友人たちとどんな時間を過ごしているのかをある程度説明してから、その日常が変化していく様を見たかったです。ギャップ萌えが好きなので。主人公の友人のぽっちゃりとイケメン子の説明が足りなくて、墨染さんの方が主人公と仲いいんじゃないかと思ってしまいます。

 4話の祭りのシーンは小並ですがとても良かったです。主人公がツインテールにしたのは男の子との馴れ初めシチュの再来を演出するいいアクセントになっていましたし、あの時から二人がどう変わっていたのかが伺えるシーンが神社の雰囲気と相まってグッとくる形にまとまっていたと思います。脇役のお母さんも中々いい役目を果たしていました。

 

■最後に

 文句を言って楽しんでないように思えるかもしれませんがしっかり楽しんでいて欲深いだけだと思ってくれると助かります。アニメには尺という制限があり、さらに恋いろはには漫画原作付きという制限もあります。その中で原作の中の要素を全て伝えることは難しいでしょう。しかし、その中で何を選択し、どのようなアプローチをとって伝えていくかというのが、アニメ制作側の腕の見せ所だと考えています。恋いろはの今後に期待ですねー原作も暇があれば読んでみたいです。

 

おわり