『ある春の夜』を読んだ(ネタバレあり)
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— Komiflo (@komiflo) April 1, 2021
快楽天2021年5月号
作・画:ももこ
漫画、アニメ、ゲーム、何にしても作品への集中力を生む『フック』は必要だと思う。
この作品の面白いポイントは、再会した同級生を完全に思い出せていないところ。
主人公がヒロインの『小林』という名字を聞いたとき、同じクラスには同じ名字の子が3人いたことを思い出す。
ここで読者としては3パターンの可能性のどこに着地するのかが気になって、物語への集中力が生まれる。ここが良いフックになった。
どんでん返しで「実は別の小林さんでした」になる可能性が最後までつきまとうので、最後まで目が離せない。
ただ、普通にどんでん返しするだけでは、驚きしか与えられないと思う。
そうはなっていない。ここに作者の話の組み立ての巧さを感じた。
主人公は最初、ミスリードしてしまうのだけど、何故ミスリードすることになったのかが語られていて、これが大人になったときのエッチな成長としてギャップエロ要素になっている。
更にオチとしては実は昔から変わっていなかったのだということになるのだが、
これがヒロインが単純な委員長キャラではないという深みに繋がり、昔から人間関係がゼロではなかったという説明にもなっていて、男女の関係を強化することに繋がっている。
1話でヒロインのエロ漫画らしい意外性を作り出していてかつ、キャラクターの深みが生まれていると思った。
主人公がうさぎをつれているのはヒロインの二面性の表現かな?
かわいい+性欲が強い。小道具としては間を埋める存在として適度に機能していたと思う。
もの足りなかった部分は…強いて言えばヒロインが主人公を家に誘った動機かなぁ。
主人公がヒロインを見ている描写があるので、主人公はヒロインをいくらか気になる存在として認識していたのではと納得できるのだけど、ヒロインが主人公を好きになる要素が少し薄かった。家の小物からヒロインもうさぎとかその手のかわいいものが好きという共通点があるのは察せられるところ。これが高校時代に発見したささやかな接点になっていたりという線はあったのだろうか。ページ数の限界か…
大枠の話としてヒロインのその場の勢いを受け止めた主人公がその場の勢いで繋がりを継続する決断をするというところで、物語冒頭の能動的に動かずズルズルと28歳になってしまった状態からの脱却、成長を描いて丸くは収まっていると思った。
「いい歳なんだから そういうのはもう勢いで簡単に決められないだろ…」
「いい歳なんだから逆に勢いでいかないと無理じゃない?」
絵は綺麗で良かったし、セリフも無駄がない。
ちゃんとエロいし、良い漫画でした。